カラムを使用した核酸抽出・精製キットにおいて、どのような仕組みでカラムへ核酸を吸着/溶出させているのか疑問に思ったことはありませんか? 今回はマッハライ・ナーゲル社のNucleoSpinシリーズなどに代表されるシリカメンブレンを使用した核酸精製について、その原理を詳しく解説いたします。
まずは吸着の仕組みです。シリカメンブレンは-OH基を持つため、核酸と水素結合しやすい構造をとっています。しかし、通常は核酸溶液中の水分子がシリカメンブレンの-OH基と核酸との間に入り込んでいるため、シリカメンブレンと核酸は結合しません。カオトロピック塩を添加することで核酸溶液を高塩濃度にすると、水分子は塩に結合するため、水分子と結合できなくなった核酸はシリカ-OH基との間で水素結合を作ります。
このような仕組みで核酸は高塩濃度下でシリカメンブレンに結合します。
まずは吸着の仕組みです。シリカメンブレンは-OH基を持つため、核酸と水素結合しやすい構造をとっています。しかし、通常は核酸溶液中の水分子がシリカメンブレンの-OH基と核酸との間に入り込んでいるため、シリカメンブレンと核酸は結合しません。カオトロピック塩を添加することで核酸溶液を高塩濃度にすると、水分子は塩に結合するため、水分子と結合できなくなった核酸はシリカ-OH基との間で水素結合を作ります。
このような仕組みで核酸は高塩濃度下でシリカメンブレンに結合します。
<高塩濃度条件下のイメージ>
溶出時はその真逆です。核酸溶液を低塩濃度にすることで、水分子は塩から遊離し、核酸とシリカ-OH基との間に入り込み、核酸はシリカメンブレンから離れます。
<低塩濃度条件下のイメージ>
シリカカラムを使用した核酸抽出キットのメリットは、以下の2点があげられます。
・迅速・簡便かつ容易に核酸精製が可能
・低塩濃度のBufferで溶出できるため、そのまま次の実験に使用できる。
ただし、シリカカラムを使用した核酸抽出キットは一部の酵素阻害物質や夾雑物の除去が困難です。特に大腸菌の膜成分由来のエンドトキシンは除去しづらく、細胞への遺伝子導入実験などへの使用はお勧めいたしません*。また、遠心操作により核酸がせん断を受けやすく、長鎖のDNAを必要とするBACなどのライブラリー作製やロングリードシーケンサーでの配列決定には適していません。実験の目的や手法によって使用するキットを検討・選択していただくことをお勧めします。
*遺伝子導入で使用するプラスミドの精製にはイオン交換カラムを使用した「NucleoBond・NucleoBond EFシリーズ」をお勧めします。
Plasmid・DNA・RNA精製キット、クリーンアップキットそれぞれにシリカカラム製品がございます。
一例
12 件