核酸抽出キットには様々な種類があり、大きく分けると 1.有機溶媒を用いた抽出法、2.シリカメンブレン法、3.イオン交換カラム法、4.磁性ビーズ法 の4つの手法があります。
今回はこの4つの核酸抽出手法について、それぞれのメリット・デメリットをご説明します。
1.有機溶媒を用いた抽出法
有機溶媒を用いて核酸を抽出する手法です。代表的なものは「フェノール・クロロホルム抽出」です。フェノール・クロロホルム抽出法は強力なタンパク質変性作用を持つフェノールを使用した抽出精製法で、タカラバイオで販売しているRNA精製用の RNAiso Plus などが該当します。RNAiso Plusはグアニジン塩を含む酸性フェノールによりRNAを精製するAGPC法に基づいた試薬で、強力な抽出溶液により、様々な試料からRNAを精製することができます。
この手法のメリットは、試料に応じて試薬の量を調整することで、多様な試料から核酸を精製することができる点です。
デメリットとしては、有機溶媒を使用するためその作業に注意を要するほか、有機溶媒に応じた廃液処理も必要になることが挙げられます。また、抽出後はアルコール沈殿などの方法でバッファー交換も必要です。この手法は定型のプロトコールに落とし込むことが困難で、作業者の経験が必要になります。
2.シリカメンブレン法
シリカメンブレン法は、高塩濃度存在下で核酸と特異的に結合するシリカメンブレンを利用した手法です。タカラバイオで販売しているNucleoSpinシリーズ が該当します。
メリットは、スピンカラムとの組み合わせにより迅速・簡便に核酸抽出が可能な点です。また、試料に応じてさまざまな製品がキット化されており、プロトコールに従って作業を行うことで容易に核酸を精製できるため、多くのラボで採用されている手法です。カラムからの溶出液はそのまま脱塩操作無しで酵素処理・PCRが可能であることも優位な点です。
デメリットとしては、酵素の阻害物質や夾雑物で一部除去しづらいものがあり、実験目的によっては再精製が必要になることがあります。また、シリカメンブレン法では遠心分離時に核酸がせん断を受けるため、長鎖のDNAを必要とするBACなどのライブラリー作製やロングリードシーケンサーでの配列決定にはあまり適しません。
3.イオン交換カラム法
陰イオン交換クロマトグラフィーを利用した核酸抽出の手法で、タカラバイオで販売しているNucleoBondシリーズ が該当します。
メリットは簡便に高純度の核酸抽出が可能な点です。例えば、大腸菌由来のエンドトキシンもある程度除去できるため、遺伝子導入実験用のプラスミド精製などに適しています。また、自然落下でカラム処理が行われるためシリカメンブレン法のように核酸がせん断を受ける可能性も低く、高分子の核酸を精製することが可能で、ロングリードの塩基配列解析にも適しています。
デメリットは、遠心分離ではなく自由落下で処理するため、シリカメンブレン法よりやや時間を要する点です。また、溶出後はアルコール沈殿などの脱塩操作が必要となります。
4.磁性ビーズ法
カオトロピック塩などの存在下で磁性ビーズを核酸に結合させることで分離します。 タカラバイオで販売しているNucleoMagシリーズ が該当します。
メリットは、磁力でビーズの分離を行うことができるので、自動化への適用が容易なところが挙げられます。操作を完全自動化することで、人の手が介入しなくなるので安定な核酸精製が期待できます。
デメリットは、自動化処理を行わない場合、作業が煩雑になる点です。
今回はこの4つの核酸抽出手法について、それぞれのメリット・デメリットをご説明します。
有機溶媒を用いて核酸を抽出する手法です。代表的なものは「フェノール・クロロホルム抽出」です。フェノール・クロロホルム抽出法は強力なタンパク質変性作用を持つフェノールを使用した抽出精製法で、タカラバイオで販売しているRNA精製用の RNAiso Plus などが該当します。RNAiso Plusはグアニジン塩を含む酸性フェノールによりRNAを精製するAGPC法に基づいた試薬で、強力な抽出溶液により、様々な試料からRNAを精製することができます。
この手法のメリットは、試料に応じて試薬の量を調整することで、多様な試料から核酸を精製することができる点です。
デメリットとしては、有機溶媒を使用するためその作業に注意を要するほか、有機溶媒に応じた廃液処理も必要になることが挙げられます。また、抽出後はアルコール沈殿などの方法でバッファー交換も必要です。この手法は定型のプロトコールに落とし込むことが困難で、作業者の経験が必要になります。
シリカメンブレン法は、高塩濃度存在下で核酸と特異的に結合するシリカメンブレンを利用した手法です。タカラバイオで販売しているNucleoSpinシリーズ が該当します。
メリットは、スピンカラムとの組み合わせにより迅速・簡便に核酸抽出が可能な点です。また、試料に応じてさまざまな製品がキット化されており、プロトコールに従って作業を行うことで容易に核酸を精製できるため、多くのラボで採用されている手法です。カラムからの溶出液はそのまま脱塩操作無しで酵素処理・PCRが可能であることも優位な点です。
デメリットとしては、酵素の阻害物質や夾雑物で一部除去しづらいものがあり、実験目的によっては再精製が必要になることがあります。また、シリカメンブレン法では遠心分離時に核酸がせん断を受けるため、長鎖のDNAを必要とするBACなどのライブラリー作製やロングリードシーケンサーでの配列決定にはあまり適しません。
陰イオン交換クロマトグラフィーを利用した核酸抽出の手法で、タカラバイオで販売しているNucleoBondシリーズ が該当します。
メリットは簡便に高純度の核酸抽出が可能な点です。例えば、大腸菌由来のエンドトキシンもある程度除去できるため、遺伝子導入実験用のプラスミド精製などに適しています。また、自然落下でカラム処理が行われるためシリカメンブレン法のように核酸がせん断を受ける可能性も低く、高分子の核酸を精製することが可能で、ロングリードの塩基配列解析にも適しています。
デメリットは、遠心分離ではなく自由落下で処理するため、シリカメンブレン法よりやや時間を要する点です。また、溶出後はアルコール沈殿などの脱塩操作が必要となります。
カオトロピック塩などの存在下で磁性ビーズを核酸に結合させることで分離します。 タカラバイオで販売しているNucleoMagシリーズ が該当します。
メリットは、磁力でビーズの分離を行うことができるので、自動化への適用が容易なところが挙げられます。操作を完全自動化することで、人の手が介入しなくなるので安定な核酸精製が期待できます。
デメリットは、自動化処理を行わない場合、作業が煩雑になる点です。
抽出法 | 有機溶媒を用いた抽出法 | シリカメンブレン法 | イオン交換カラム法 | 磁性ビーズ法 |
---|---|---|---|---|
メリット | ・酸性フェノールによる強力な抽出力で、 ・試料量に応じて、溶液量を加減することで、大量のサンプルにも対応可能 |
・ ・カラムからの溶出液をそのまま次の実験に使用できる |
・簡便に ・せん断を受けにくいため、高分子のDNAを精製できる |
・自動化処理に容易に適用可能 ・自動化した場合は、 |
デメリット | ・抽出後、アルコール沈殿などのバッファー交換が必要 ・他の抽出法に比べて純度がやや劣る ・有機溶媒を使用するため、操作に注意が必要で、特別な廃液処理なども必要 |
・遠心分離時に核酸がせん断を受けやすい ・一部の阻害物質や夾雑物の除去が困難 | ・自由落下による処理のため、シリカメンブレン法に比べて時間がかかる ・脱塩操作が必要 |
・手作業で行うのは煩雑 |
該当製品 | RNAisoシリーズ(★) RNAiso Plus |
NucleoSpinシリーズ(★) |
NucleoBondシリーズ(★) |
NucleoMagシリーズ(★) |
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