2022年3月15日 更新

ウイルス力価測定の本質に迫る-科学的な裏付けから

ウイルスの力価測定で留意すべき点は、常に同じ方法でウイルス溶液を調製(図3)している限り、力価測定を物理的な方法で行っても機能的な方法で行っても、サンプル間の力価の比は一定であることです。すなわち、もし物理的な力価測定法を用いてサンプル間の定量比較したい場合、産生及び産生後の精製・濃縮プロセスなど、すべて同一条件且つ、同一試薬で調製されたウイルス溶液を供する必要があります。
影響因子 影響内容
パッケージングシステム IFUとレンチウイルス粒子数の比は、パッケージングシステムによって異なる場合がある。
精製・濾過 ウイルス溶液中の可溶性p24の比率を低下させる。
濃縮・沈殿 可溶性p24に対する機能性粒子および空粒子の比率を増加させる。
培養時間 IFUに対するp24の比は、通常、ウイルス産生時間の延長とともに増加する。
図3. ウイルス作製法が物理的測定法と機能的測定法の相関性に及ぼす影響

・物理的測定法をうまく活用する

物理的な力価測定法では直接、機能性粒子を定量できませんが、2つの測定法における相関性が確立されれば、物理的測定法は機能的測定法に代わる迅速で信頼性の高い方法となります。
例えば、Lenti-X GoStix Plusで測定したウイルス力価を用い、少しの計算と標準力価でIFU/mLに換算してみましょう。本当にシンプルな換算方法です。

専用のアプリでGoStixカセットをスキャンすると、アプリのソフトウェアがカセット上のバンド強度を測定及び比較し、GoStixのロットに対応した標準曲線と照らし合わせ、サンプル内のp24の量
(ng/mL p24)を算出します。この値を機能力価に換算するには、予め、いつもの条件で調製した標準ウイルス溶液を用いて、GoStix測定と機能力価測定の両方で力価を測定します。機能性力価として1 mLの標準ウイルス溶液における導入細胞数(IFU/mL)を求めます。両測定値が得られたら、IFU/mLと
ng/mL p24の比を算出します。ウイルス溶液の調製方法と試薬が同じであれば、この比を用いて、
ng/mL p24として測定した数値をIFU/mLに換算することができます。
 (242)

・力価測定から遺伝子導入実験までの時間を短縮

ウイルスの力価測定は、遺伝子導入実験に必要なウイルス溶液量を調製する上で、必須な工程です。しかしながら、従来の物理的測定法(例:qRT-PCR法、ELISA法)や機能的測定法は、時間がかかり、煩雑であるため、なかなか導入実験に進むことができません。ただし、一度物理的測定と機能的測定の力価の比が得られれば、以降は同一条件で調製したウイルス溶液に対して、迅速で簡便な物理的測定法で得た数値を有用な機能力価に換算することができます。これで、あなたも力価測定のエキスパートです!

10分で測定可能なLenti-X GoStix Plusは、qPCR法やELISA法のような物理的な力価測定法に代わる迅速な方法として開発されました。サンプルを滴下し、10分後にアプリで写真を撮影するだけの簡単な測定法です。研究に使う時間は貴重なため、短時間でウイルス力価が測定できるLenti-X GoStix Plusの使用をご検討ください。
本記事でご紹介した製品Lenti-X GoStix Plusの製品ページはこちらから

ぜひ一度お試しください、無料サンプルこちらから

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