2020年8月18日 更新

CRISPR/Cas9システムってなに? -正確で効率がよく、なおかつ簡単なゲノム編集ツール-

ゲノム編集を行うシステムとして初期に報告されたzinc finger nucleasesやTALEN。これらの開発で、今までは不可能だった正確で効率のよい遺伝子改変が可能になりましたが、非常に系の構築が難しく、誰もが気軽に使えるとは言い難いものでした。そのような状況をCRISPR/Cas9システムが一変させました。効率のよい正確な遺伝子改変、つまりゲノム編集が簡単に行えるようになりました。
CRISPR/Cas9とは何でしょうか。
実は、微生物が持つ獲得免疫システムを利用したもので、RNA分子がピンポイントで特定のDNA配列(侵入してきたファージなどの配列)にCas9というDNA切断酵素を誘導し、その部分を正確に切断して“侵入者”を排除する・・このシステムをゲノム編集に応用したのです。
つまりCRISPR/Cas9は、切断酵素Cas9とRNA分子(single guide RNA; sgRNA)から成るシンプルなシステムです。このCas9とsgRNAを対象細胞に入れてターゲット遺伝子の正確な切断を行うと、non-homologous end joining DNA repair pathway (NHEJ) と呼ばれる修復機構が働くのですが、一定割合で塩基の欠失や挿入を伴う修復エラーが生じ、結果、塩基の読み枠がむちゃくちゃになり、その遺伝子の機能が失われるいわゆるノックアウト状態になります(ノックインの場合は、homology-directed repair (HDR)と呼ばれる修復機構を利用します)。
CRISPR/Cas9システムによるノックアウトの原理

CRISPR/Cas9システムによるノックアウトの原理

(1)ターゲット遺伝子の配列に基づきsgRNAを設計する。
(2)Cas9とsgRNAの複合体を形成し、それをターゲット遺伝子に作用させる。
(3)Cas9/sgRNA複合体がターゲット遺伝子の特定の箇所をピンポイントで認識し、正確に切断する。
(4)対象生物の中で修復エラーが生じ、ノックアウト状態になる。

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