DNAライゲーションの基本
DNAライゲーションは、DNAリガーゼを使用して異なるDNA断片を連結して一つの連続したDNA分子を作製するプロセスで、遺伝子組換え実験の基本操作として長年利用されています。主に使用される酵素はT4 DNA Ligaseで、ライゲーション反応にはT4 DNA Ligaseの他にATPやマグネシウムが必要ですが、これらは通常ライゲーションバッファーに含まれています。ライゲーションの成功には、適切な反応条件で行うことが必要です。ライゲーションの効率は、ベクターとインサートDNAを連結するクローニングの成功の鍵になりますので、遺伝子操作において非常に重要です。DNAライゲーションの原理と応用
DNAライゲーションは、二本鎖DNA断片の5'リン酸基末端と3'水酸基末端を連結させる働きを持つT4 DNA Ligaseを用いて行います。二本鎖DNAを制限酵素で切断すると、DNAの末端は5’突出末端、平滑末端, 3’突出末端のいずれかになります。T4 DNA Ligaseは、同じ形状の二本鎖DNAの末端同士を連結するので、同じ制限酵素で切断したDNA同士か、切断後構造が同じになる制限酵素で切断したDNA同士でライゲーション反応を行う必要があります。また、末端形状によりライゲーションの効率に差があり、突出末端は平滑末端に比べて効率が高くなるので、末端の形状にあわせてライゲーション条件を最適化します。
実験室でのDNAライゲーション:必要なものと手順
<必用なもの(主なもの)>- ベクターDNA
- インサートDNA
- T4 DNA Ligase
- ライゲーションバッファー(弊社T4 DNA Ligaseに添付されています。)
- インキュベーター(16℃設定)
- 制限酵素
- ベクターDNAとインサートDNAの準備
ベクターDNAとインサートDNAは、同じ制限酵素で切断したDNA同士か、切断後構造が同じになる制限酵素で切断したものを準備します。 - ライゲーション反応液の準備
1.で準備したベクターDNAとインサートDNA、ライゲーションバッファー、水、T4 DNA Ligaseを加えて反応液を調製します。 - インキュベーション
反応液を16℃でインキュベートします。反応時間はDNAの末端形状により異なります。
平滑末端は突出末端に比べ、長時間の反応を行う必要があります。
反応後のライゲーション溶液は、大腸菌コンピテントセルに加え、形質転換を行います。
操作手順等の詳細は以下のProtocolをご確認ください。
T4 DNA Ligaseによるプラスミドベクターへの外来DNAのライゲーション反応例
DNAライゲーションまとめ
- DNAライゲーションは、異なるDNA断片を連結して一つの連続したDNA分子を作製するプロセスで、遺伝子組換え実験の基本操作として重要な操作です。
- 主に使用される酵素はT4 DNA Ligaseで、二本鎖DNAの5'リン酸基末端と3'水酸基末端を連結します。ライゲーションには適切な反応条件が必要です。
便利なライゲーションキット
DNAライゲーションは T4 DNA Ligaseを用いて行うことができますが、さらに便利にライゲーションが行えるキットがあるので、ご紹介します。DNA Ligation Kit <Mighty Mix>は、ライゲーション反応に必要な試薬をすべて含む1液タイプのライゲーションキットで、Ligation MixとDNA溶液を混合するだけの簡単操作で、あらゆるタイプのライゲーション反応が可能です。どのようなDNAの末端形状でも高い効率が得られます。
また、TaKaRa DNA Ligation Kit LONGは、ライゲーション反応が難しいといわれている長鎖DNAを効率よくライゲーションすることが可能なキットです。用途にあわせて、これらのキットを使用することで、さらに簡便に反応を行うことができます。
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