2024年6月17日 更新

【入門者向け】制限酵素をわかりやすく解説

本記事は、制限酵素とは何かを分かりやすく解説しています。

制限酵素はDNAを切断するハサミの役割をする酵素です。
元々は細菌内に存在し、ウイルスやファージなどの外来DNAを切断し無力化して、細菌自身の遺伝情報を保護する役割を持っています。

制限酵素はDNAの特定部位を切断することができるため、現在では様々な実験に使用されています。

1979年に、寶酒造が国産初の遺伝子工学研究用試薬「制限酵素」の製造・販売を開始しました。
この制限酵素の発売を起源として、タカラバイオの歴史はスタートしました。
販売開始時は4種類でしたが、現在はタカラバイオの取り扱う製品だけで約100種にまで拡大しています。

この記事では、制限酵素の働き、重要性、具体例などを分かりやすく説明しています。

制限酵素の働きは?

制限酵素は、DNAを特異的に切断する酵素です。
ある制限酵素がDNAを切断するのは、ある特定の箇所(認識配列)のみになります。
認識配列は一般に4~8塩基の配列で構成されます。
例えば「GAATTC」という配列が認識配列である場合、DNAの「GAATTC」という配列だけを認識し、切断します。

制限酵素がなぜ重要なの?

制限酵素は、その特異的な切断能力を活かして、さまざまな研究や実験に応用されています。
特に分子生物学の研究においては、重要なツールとして使用されています。

【遺伝子のクローニング】
ベクターDNAと目的遺伝子領域を持つDNAをそれぞれ同じ制限酵素で切断した後、DNAリガーゼを用いて連結させることで、組換えDNAを作製することができます。


【遺伝子多型解析】
PCRで目的遺伝子領域を増幅し、増幅産物を制限酵素で処理して生じた切断断片のサイズを電気泳動で解析することで、遺伝子の変異(多型)を検出します。


【DNAメチル化解析】
DNAのメチル化は、真核生物において遺伝子発現の制御に重要な役割を果たします。
制限酵素の中にはメチル化を受けた配列を切断できるものとできないものがあり、このようなメチル化感受性の違いをDNAメチル化解析に利用します。


これらの技術を実現するためには、制限酵素は欠かせない存在です。分子生物学の基礎研究から応用まで幅広い研究分野において重要な酵素と言えます。

なお、制限酵素は元々細菌中に存在するものですが、人工的に合成したものあります。これらの人工制限酵素は、ゲノム上の特定の場所に変異を誘導するゲノム編集技術で使用されています。

代表的な制限酵素を紹介

代表的な制限酵素を、いくつかご紹介いたします。
  • EcoR I
    認識配列は6塩基、切断後は5’突出末端が生じます。
  • Pst I
    認識配列は6塩基、切断後は3’突出末端が生じます。
  • EcoR V
    認識配列は6塩基、切断後は平滑末端が生じます。
  • Hae III
    認識配列は4塩基、切断後は平滑末端が生じます。
  • Not I
    認識配列は8塩基、切断後は5’突出末端が生じます。
  • Dpn I
    認識配列はGmATC(Aがメチル化されている場合)、切断後は平滑末端が生じます。
    Aがメチル化されていない場合は切断しません。
制限酵素の命名方法は、通常、その酵素が最初に発見された細菌の属名と、その細菌の種名の頭文字を組み合わせて命名されます。例えば、EcoR Iは、Escherichia coli(大腸菌)という細菌から最初に単離されたことに由来しています。

制限酵素のわかりやすい紹介まとめ

  • 制限酵素は、DNAを特異的に切断する役割を持つ酵素です。特定の塩基配列を認識し、その場所でDNAを切断することができます。
  • 切断したDNA断片を組み合わせて、新しい組換えDNAを作り出すことも可能です。
  • DNAの多型解析やメチル化解析など、さまざまな研究に応用されています。



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