2020年12月15日 更新

細胞培養の豆知識「培地の色はなぜ赤い?」

フェノールレッドについて

細胞培養に使用する培地は、なぜ赤いかご存知ですか?実は、赤い色素をわざわざ入れているのです。この赤い色素はフェノールレッドというpH指示薬で、細胞の成育そのものにはほとんど関係ありません。フェノールレッドは、pHにより中性付近では赤色、酸性では黄色、アルカリ性では赤紫色に変化します。
では、どうして培地にpH指示薬を入れているのでしょうか。

細胞が増殖しすぎると、細胞から放出される乳酸により培地が酸性に傾き、培養環境が悪くなります。すると、フェノールレッドが黄色に変色し、培地交換や継代のタイミングを知らせてくれるのです。また、コンタミにより微生物等が増えても、同様に黄色くなります。その場合は、オートクレーブによる廃棄や適切な処置を行う必要があります。

一方、インキュベーター内のCO2濃度が5%以下だと、培地中の炭酸が抜けてアルカリ性に傾き、フェノールレッドが赤紫色に変化します。培地の色が赤紫色になっていたら、CO2ガスボンベの残量をチェックしましょう。

このように便利なフェノールレッドですが、気を付けておかないといけない点もあります。フェノールレッドにはエストロゲン(女性ホルモンの一種)と似た作用があるため、エストロゲン作用を評価するような細胞実験には適しません。
また、吸光度測定など、培地の光学分析を行う場合にもフェノールレッドが影響する可能性があります。
さらに、再生医療の分野では小さなリスクも可能な限り排除することが鉄則ですので、エストロゲン様作用のあるフェノールレッドを含まない培地が好まれています。

例えば、タカラバイオの間葉系幹細胞用培地Cellartis® MSC Xeno-Free Culture Mediumは、フェノールレッド含有(写真左)/不含(写真右)の2タイプをご用意しており、再生医療研究向けのCellartis® MSC Xeno-Free GMP Grade Culture Medium (Prototype) はフェノールレット不含タイプのみのラインアップとなります。
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また、タカラバイオで取り扱っているPromoCell社の培地も、通常の培地に加えフェノールレッド不含の培地も用意されており、ロット毎に対象とする初代培養細胞の増殖をサポートすることが確認されています。用途に合わせて培地をお選びください。

▶PromoCell社の細胞・培地製品の詳細はこちら
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